MOTET / 改修現場ガイド

二重膜式ガスホルダーの内膜交換手順(後編)

二重シール、新内膜施工、既設外膜の復旧から配線、段階膨張、発泡液漏れ検査まで

読了目安 14 分

改修現場ガイド / 二重膜式ガスホルダー

内膜交換と段階膨張を完了した二重膜式ガスホルダー
1. 交換完了後の現場状態。前編の旧内膜撤去から続き、新内膜施工、既設外膜復旧、膨張、受入確認までを記録します。

前編の終点では、損傷した内膜を撤去し、底膜、アンカー溝、押え部材、各取合い部を露出しました。後編の目的は単に新膜を戻すことではなく、連続し、検査でき、記録可能なシール・荷重伝達系を再構築することです。

内膜交換の前編を読む

施工・受入チェーン

  1. 01底面受入
  2. 02下側シール
  3. 03内膜配置
  4. 04上側シール
  5. 05外膜復旧
  6. 06計装配線
  7. 07段階膨張
  8. 08漏れ検査

安全・適用範囲

本記事は工程・品質管理の説明であり、案件別施工要領、作業許可、ガス測定、エネルギー隔離、揚重計画、現地法令の代替ではありません。EPA AgSTAR は点検・保全・記録・安全をバイオガス運転の重要要素とし、OSHA 1910.147 は保全前の危険エネルギー隔離と検証を求めています。現場では承認図書と現地要求を優先します。

EPA AgSTAR · OSHA 1910.147

1. 底部受入と第1層の連続シール材

新膜搬入前に、底膜、基礎端部、アンカー溝、フランジ面、スタッドをホールドポイントとして確認します。硬い残渣と滞留水を除去し、膜を傷つける鋭利部を処理し、再使用する押え部材の平坦性と連続性を確認します。底部取合いの受入後に第1層の連続シール材を敷設します。

シール材は単なる隙間埋め材ではなく、圧縮シール系の一部です。角部、重ね部、穴位置、接続部の連続性を記録し、材質、断面、重ね方法、目標圧縮量は承認図書と供給者資料に従います。

施工方向に合わせて折り畳まれた新内膜
2. 新内膜は管理された折畳み状態を保ち、周縁補強部、工場加工穴、吊りベルトを揚重前に確認します。

2. 新内膜の揚重・方向確認・管理展開

揚重前に内膜中心、取合い方向、据付基準、吊りベルトを確認します。吊点は展開経路を管理するためのもので、付属品、溶着部、周縁フランジの一点に全荷重を負担させません。基礎上へ移動後はゆっくり降下し、手元誘導で手すり、スタッド、鋭利な鋼材との接触を避けます。

新内膜の吊りベルト・吊点確認
3. 吊りベルトの配置、膜包の拘束、荷重方向を確認し、吊具による膜材損傷を防ぎます。
新内膜をガスホルダー基礎中心へ搬入
4. 膜包を基礎中心へ管理降下し、所定方向へ放射状に展開できる余裕を確保します。

展開時は中心と主要取合い方向を先に設定し、折畳みを区画ごとに解放します。作業者は歩行可能範囲を使用し、柔軟な牽引点で膜を移動し、靴底、工具、引張荷重を溶着部や付属品根元へ集中させません。

中心吊点で管理しながら新内膜を展開
5. 中心吊点に軽い張力を保持し、中心から外周へ展開して無秩序な重なりを防ぎます。
新内膜を基礎円周へ放射状に展開
6. 大きなねじれを先に解消し、その後に周縁細部を調整します。局部の強引な牽引で全体芯出しを代替しません。

3. 周縁位置合わせ・第2層シール・段階締付け

内膜周縁補強部を下側シール材上へ配置した後、基準点で方向と穴位置を確認し、対称区画ごとに進めます。写真のマーキングと穴位置確認は実際の幾何関係を確認する工程であり、穴が見えた順に本締めする作業ではありません。偏差が蓄積する場合は中心と展開状態へ戻って調整します。

内膜補強端部の穴位置マーキング・確認
7. 位置マークは円周誤差と締付け順序を管理するためのもので、無計画な現場拡孔の根拠にはなりません。
内膜周縁をスタッドへ段階固定
8. 位置決め状態から圧縮状態へ段階移行し、承認順序で対称に進め、一部だけを先に本締めしません。

内膜固定のホールドポイント合格後、その上に第2層の連続シール材を敷設し、既設外膜を復旧します。これにより「支持面-下側シール-新内膜-上側シール-再使用外膜-押え部材」という説明可能な積層を形成します。最終構成は案件承認図書を優先します。

内膜周縁補強層と締結点の詳細
9. 補強端部、穴位置、円周シール経路を連続かつ明確にし、しわや異物を挟み込みません。
新内膜の工場製補強層・溶着部詳細
10. 規則的な補強層と連続溶着部は追跡・目視確認を容易にしますが、最終合否は供給者検査記録と併せて判断します。
周縁位置合わせ・固定を完了した新内膜
11. 新内膜の円周境界が連続し、外膜で覆う前に中心、主要取合い方向、しわ分布を再確認します。
膜層間に配置した第2層の連続シール材
12. 写真は円周取合いに沿う連続シール材を示します。清潔、連続、ねじれなしを保ち、圧縮条件は承認設計に従います。

4. 既設外膜の復旧:元の方向へ戻す

前編で保護揚重した既設外膜は、新内膜と上側シール材の検査合格後に戻します。元の方向表示、付属品方向、吊点を確認し、降下時は地上誘導で折れを管理して、手すり、鋭利部、新内膜との擦れを防ぎます。

再使用外膜をクレーンで基礎上へ戻す
13. 外膜は再使用製品として保護し、揚重速度、風況、地上誘導を管理します。
新内膜上へ降下した既設外膜の初期状態
14. 中心と付属品方向を確認後、区画ごとに折れを解放し、新内膜上で膜包を引きずりません。
既設外膜を円周へ再展開・芯出し
15. 中心から周縁へ展開し、取合い、風管、計装位置を元の方向表示に合わせます。
復旧後の周縁押え部材・締結点
16. 押え部材はシール経路を連続して覆い、承認順序で段階締付けします。写真はトルク・締結記録の代替ではありません。

5. 貫通部・レベル信号・配線の復旧

膜層締付け後、撤去記録に従ってレベル計、圧力取出し、風管、ケーブルを復旧します。配線は単なる再接続ではなく、端子、極性・信号定義、ストレインリリーフ、シールグランド、フランジ締結、防水経路を確認し、ループチェックを行います。

レベル計付属品の信号線再接続
17. 端子接続後もケーブル固定、シールグランド、信号応答を確認し、絶縁テープで工学的シールやストレインリリーフを代替しません。

6. 段階膨張:形状・接触・信号を同時確認

初回膨張はいつでも停止できる管理工程とします。まず支持空気を供給して外膜をゆっくり所定形状へ移行させ、円周締付け線、風管、付属品、膜面しわを巡視します。異常摩擦、局部張力、付属品移動、不合理な圧力・レベル信号があれば停止して原因を確認します。

支持空気ダクトを接続して低段階膨張を開始
18. 初期段階は低速・観察可能な状態とし、風管、膜層、周縁取合いに引張りや挟み込みがないことを確認します。
段階膨張で外膜が徐々に曲面を形成
19. 形状確認では対称性、しわ移動、硬接触を確認します。1枚の写真は一時点の記録であり、連続巡視の代替ではありません。

7. 発泡液漏れ検査・機能試験・最終受入

膜形状が安定した後、接近可能なフランジ、貫通部、圧力取出し口、その他承認済み検査点へ膜材適合の発泡検査液を塗布します。気泡が継続成長する場合は漏れの可能性として表示、減圧、補修、再検査を行い、「音がしない」ことだけで漏れなしとは判断しません。

続いて支持ブロワ切替、圧力・レベル信号、警報、インターロックを確認し、案件所定状態で形状と運転傾向を記録します。試験媒体、圧力、安定時間、合格基準は案件承認手順に従い、本記事は一般値を提示しません。

膨張完了後のガスホルダー正面状態
20. 最終輪郭は圧力、レベル、ブロワ、インターロック記録と併せて判断し、整った外形は受入証拠の一部にすぎません。
発泡液漏れ検査対象となる膜面フランジ
21. 写真は重点確認するフランジ・締結面を示します。検査液の塗布、観察、再検査結果は別途記録します。

よくある6つの誤り

  • 硬い異物、滞留水、鋭利部を残したまま新膜を覆う。
  • シール材が角部で途切れる、重ね部が管理されない、ボルト穴で切断される。
  • 一点から穴位置を無理に合わせ、円周しわと偏心を生じさせる。
  • 一部のボルトだけを先に本締めし、対称・段階締付けを行わない。
  • 外膜を鋭利部に引きずる、または吊具で膜材を直接圧迫する。
  • 最終形状だけを見て、信号、警報、インターロック、漏れ記録を確認しない。

最終受入記録

  • 上下のシール材が連続し、適合性と圧縮経路が明確
  • 内膜の方向、中心、円周穴位置を記録
  • 押え板、ボルト、締付け順序を承認図書どおりに完了
  • 内膜溶着部、フランジ端部、貫通部の目視検査を完了
  • 再使用外膜に新たな擦傷、折れ、硬接触がない
  • ブロワ、圧力、レベル、警報、インターロックを確認
  • 段階膨張中の形状が安定し、異常摩擦がない
  • 接近可能な取合い部の発泡液検査を記録

専門的な引渡しの要点は「膨らんだ」ことではなく、次の層で覆われる各取合い部を検査・記録・承認し、最終形状、漏れ結果、制御信号が相互に整合することです。

よくある質問

内膜フランジの上下にシール材を設ける理由は?

下側と上側の連続シール材により、支持面、内膜フランジ、再使用する外膜の間に管理可能な圧縮シール面を形成します。材質、断面、圧縮量は承認図書に従います。

ボルト穴が合わない場合、一点から強く引いて合わせてもよいですか?

できません。中心と方向を確認し、円周上を対称かつ段階的に合わせます。一点に無理な力を加えると、膜面、溶着部、貫通部にしわと付加応力が移ります。

内膜固定後、すぐに既設外膜を戻せますか?

内膜本体、溶着部、フランジ端部、シール材、貫通部、締付け順序のホールドポイント検査に合格してから復旧します。

膨張中に確認する項目は?

段階膨張中に膜形状、しわの移動、周辺鋼材との接触、ブロワ応答、圧力・レベル信号、警報、インターロックを確認します。

発泡液による漏れ検査はどのように判定しますか?

所定の試験状態で、材料に適合する承認済み検査液を確認箇所に塗布します。気泡が継続して成長する場合は漏れの可能性として補修・再検査します。

最終形状が正常なら交換完了ですか?

形状だけでは完了ではありません。シール、締結、計装、警報・インターロック、漏れ、運転状態の記録を承認手順に従って確認します。

内膜交換・気密受入相談

覆われる各取合い部を、検証可能な記録へ。

形式、寸法、ガス組成、損傷写真、停止可能期間、制御資料をご提示ください。内膜交換、シール確認、復旧膨張、受入範囲を検討します。

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